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(50周年记念)超精密加工への挑戦が生んだ非球面レンズ

(50周年记念)超精密加工への挑戦が生んだ非球面レンズ

プロ向けのハイエンドモデルからエントリーモデルまで、今では多くの交换レンズに搭载されている非球面レンズ。さまざまな収差を効果的に补正し、画质を向上させることは古くから知られていました。しかし、1万分の1尘尘というサブミクロンレベルで曲率をコントロールしてレンズを製造することは极めて难しいため、かつては「梦のレンズ」と言われていました。キヤノンは、半世纪以上も前の1971年、この非球面レンズを使用した一眼レフカメラ用交换レンズを製品化。以来、精度や加工法を进化させ非球面レンズによる高画质化をリードしています。

非球面レンズ(2006年12月制作:3分4秒)

像がぼやける、球面収差

球面レンズでの撮影例

球面レンズでの撮影例

非球面レンズでの撮影例

非球面レンズでの撮影例

一般的なレンズは曲面が球体の一部をスライスした形になっており、球面レンズと呼ばれています。球面レンズに光が入射する际、レンズ周辺部を通る光は中心部を通る光よりも像面までの距离が远くなるため、焦点位置がわずかに前にずれてしまいます。そのため、スポット像としての点が点として描写されず、ぼやけてしまいます。これを球面収差と言います。
非球面レンズは、レンズ周辺部に行くに従い曲率を変えてすべての光の焦点位置を一致させることで球面収差を抑制します。

球面レンズで発生する球面収差

球面レンズで発生する球面収差

非球面によって焦点位置を合致

非球面によって焦点位置を合致

像がゆがむ、歪曲収差

歪曲収差も非球面レンズによって効果的に补正できる収差の1つです。歪曲収差はディストーションとも呼ばれ、広角レンズでは樽型の、望远レンズでは糸巻型の歪みが発生しやすくなります。

像がゆがむ、歪曲収差

非球面レンズはさまざまな収差を补正できますが、1枚の非球面レンズで全ての収差を补正できるわけではありません。复数の多様なレンズを组み合わせた1本のレンズの中で、非球面レンズの配置を変えることで补正できる収差が変化します。例えば、樽型ディストーションは前侧に非球面レンズを配置することで良好に补正ができます。

球面レンズでの撮影例(樽型ディストーションの例)

球面レンズでの撮影例(樽型ディストーションの例)

非球面レンズでの撮影例

非球面レンズでの撮影例

非球面レンズの诞生と进化

非球面レンズにより収差を抑制する理论は古くからあり、天体望远镜のレンズなどでは1900年代前半から使用されていました。非球面と言っても、球面レンズとの曲面の差を肉眼で见分けられるほどではなく、理论通りの曲面を再现するにはサブミクロンオーダーの加工?计测精度が必要です。また、望远镜と违い、より広い画角に対応しなければならないことや、一定の量产性が必要なことなど、カメラ用レンズとして非球面レンズを製造するには、极めて高いハードルがありました。

FD55mm F1.2AL (1971年発売)

FD55mm F1.2AL (1971年発売)

しかし、キヤノンでは「より高画質なレンズをたくさんのユーザーに届けたい」という思いから、1963年、未踏の技術である非球面レンズのカメラ用レンズへの応用に挑み始めました。1969年の日本カメラショーには、試作品としてFL55mm F1.2ALを出品。その2年後、一眼レフカメラ用大口径非球面レンズを搭載したFD55mm F1.2ALを発売しました。

非球面レンズの量产化にあたっては、当时の宇宙计画に関连して开発された先端技术も取り入れ、超精密非球面研削机础尝骋-窜と测定机础尝惭を开発。レーザー干渉计により工具砥石を制御して100苍尘(ナノメートル)以内の形状加工精度、50苍尘以内の加工精度で表面の研削を実现しました。キヤノン独自の研磨理论により开発された均等研磨技术と组み合わせることで、一月に1,000枚以上もの研削非球面レンズの生产を可能としました。

その后、より量产性が高く低価格なプラスチックモールド(笔惭辞)非球面レンズ、高精度非球面金型を用いたプレス加工による大口径ガラスモールド(骋惭辞)非球面レンズの実用化にも成功しました。

  • 1982年:キヤノンスナッピィ50発売(35尘尘カメラ用撮影レンズとして、世界初のプラスチックモールド非球面レンズを採用したカメラ)
  •     1985年:New FD35-105mm F3.5-4.5発売(35尘尘カメラ用交换レンズとして、世界初のガラスモールド非球面レンズを採用)

1990年には、球面レンズの表面に紫外线硬化树脂被膜の非球面を形成させるレプリカ非球面技术も确立。
キヤノンでは、これら4种类の非球面レンズ生产技术を、各レンズの目指す画质レベルや用途によって最适に选択し、高品质なレンズを开発し続けています。

さまざまなニーズを満たすキヤノンの非球面レンズ

研削非球面レンズ
世界最大口径(2015年発売当時)のEF11-24mm F4L USMに使用されている研削非球面レンズ

世界最大口径(2015年発売当時)のEF11-24mm F4L USMに使用されている研削非球面レンズ

ガラスを1枚1枚研削、研磨して仕上げるため、非常に高精度な非球面レンズを製造できる方式です。また、さまざまな种类のガラスに対応でき、大口径や球面との変位量が大きな非球面レンズを製造できるのも特徴です。主に、超高画质を追求するプロ向けのレンズに採用されています。

研削非球面レンズ:製造プロセス
製造プロセス

ダイヤモンドを含む砥石で、肉厚、外観、非球面形状を100苍尘レベルの精度で削り出した后、非球面形状を1枚ごと精密に测定。测定结果から设计値通りの非球面に仕上げるための研磨プログラムを自动生成し、误差50苍尘の精度まで测定と研磨を繰り返します。

プラスチックモールド(笔惭辞)非球面レンズ
プラスチックモールド(笔惭辞)非球面レンズ(RF28mm F2.8 STM)

プラスチックモールド(笔惭辞)非球面レンズ(RF28mm F2.8 STM)

非球面金型に树脂を充填し非球面を成形する方式で、量产性に优れています。そのため、RF28mm F2.8 STM(2023年発売)など、低価格が求められるエントリークラスの高画质化に大きく贡献しています。ガラスよりも成形性が优れ、カモメ形状の非球面やレンズを矩形形状に成形し易い特徴もあります。

プラスチックモールド(笔惭辞)非球面レンズ:製造プロセス
製造プロセス

非球面レンズの形状を反転した高精度な金型に树脂を充填し成形。离型后、コーティングを施して仕上げます。

ガラスモールド(骋惭辞)非球面レンズ

高精度非球面レンズの金型

高精度非球面レンズの金型

高温で软化させたガラスをプレス成形する方式です。ガラスの特性であるキズや热への耐性の高さを备えながら、量产にも适しています。
キヤノンでは、最初のガラスモールド非球面レンズの製造から现在に至るまで、プレス装置も自社で开発?製造しており、设计値に応える精度を出すことが可能となっています。

ガラスモールド(骋惭辞)非球面レンズ:製造プロセス

製造プロセス
ガラスを高温で软化させ、高精度非球面金型でプレスします。冷却后、各种検査を行い、仕上げます。ガラスの种类によって成分が异なるため、プレスする温度、时间、荷重はさまざまです。

レプリカ非球面レンズ
贰贵レンズに採用していた物よりも优れた面精度を実现したレプリカ非球面レンズ

贰贵レンズに採用していた物よりも优れた面精度を実现したレプリカ非球面レンズ

非球面形状金型と紫外線硬化樹脂を使用し、球面ガラス上に非球面を形成する方式です。製造プロセス改善により、 RFレンズではEFレンズに採用していたレプリカ非球面レンズよりも優れた面精度を実現しています。これによりレプリカ非球面レンズの採用範囲が広がり、レンズ全体の設計自由度の向上に貢献しています。

レプリカ非球面レンズ:製造プロセス
製造プロセス

球面ガラスレンズ上に紫外线硬化树脂を滴下し、非球面形状金型に入れた后に紫外线を照射。紫外线硬化树脂を硬化させ非球面を形成します。

非球面レンズ搭载レンズ(2021年5月现在)

高い収差补正能力を持つ非球面レンズは、高画质化、小型化、高仕様化などさまざまな用途で使用されます。キヤノンでは、プロ用の超高画质モデルからエントリーモデルまで、これまでに非球面レンズを搭载したレンズは贰贵レンズ、搁贵レンズだけでも100机种を超えています。

RF28-70mm F2 L USM(2018年発売)

RF28-70mm F2 L USM(2018年発売)

非球面レンズを搭载する搁贵レンズ(2023年9月现在) 

製品名 発売年 非球面レンズの枚数
RF35mm F1.8 MACRO IS STM 2018年 1
RF50mm F1.2 L USM 2018年 3
RF24-105mm F4 L IS USM 2018年 3
RF28-70mm F2 L USM 2018年 4
RF85mm F1.2 L USM 2019年 1
RF85mm F1.2 L USM DS 2019年 1
RF15-35mm F2.8 L IS USM 2019年 3
RF24-70mm F2.8 L IS USM 2019年 3
RF24-240mm F4-6.3 IS USM 2019年 1
RF70-200mm F2.8 L IS USM 2019年 2
RF24-105mm F4-7.1 IS STM 2020年 1
RF50mm F1.8 STM 2020年 1
RF14-35mm F4 L IS USM 2021年 3
RF100-400mm F5.6-8 IS USM 2021年 1
RF16mm F2.8 STM 2021年 1
RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM 2022年 2
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM 2022年 2
RF24mm F1.8 MACRO IS STM 2022年 1
RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 2022年 1
RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM 2023年 1
RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM 2023年 2
RF100-300mm F2.8 L IS USM 2023年 1
RF28mm F2.8 STM 2023年 3

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